遅ればせながら

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突然思い立って、Netリザーブして観て来ました。

オスカー取っちゃったし、やっぱり観ておこうと。

 

 良かったです。

ワタシ的には。

公開から時間が経っている為1日の上映数も少ないし

シネコンといえ3Fで放映扱いにもかかわらず

ロビーはごった返していた。

さらに

「本日のおくりびとは完売いたしました」とインフォメーションが入ったcoldsweats02

 

溢れる人たちは・・・

50代~のご夫婦や、老人を連れたご家族。

年齢層、かなり高いです。

 

 

さて、映画の話。

少し、ネタばれになってしまいますが

東京で、楽団に所属していたチェリスト。

突然の楽団解散。チェロを手放す事で自分が

不思議に開放されたと感じる主人公。

そして生まれ故郷に妻とともに帰る。

 

「旅のお手伝い」の広告は、実は「旅立ちのお手伝い」。

 

最初の「お見送り」で既に泣けましたよ、ワタシ。

連れ合いがなくなったことに苛立つ主人。

「お前ら、死人で飯食ってんだろ!10分も遅れやがって!」

当たり前のこととして田舎で地味暮らしてきたであろう夫婦。

山崎努演じる納棺師の舞のように見える作業。

 

体を棺に納める仕事のことですが、ただ無造作に棺に納めればいい

というわけではありません。

ご遺体を整え、旅立ちの衣装を着せて棺に納めます。

プロですから、手際よく作業を進めることはあたりまえのこと。

遺族が死と向き合う大切なひとときでもありますから、

可能な限り遺族に参加を促し、

十分お別れをしていただけるよう努めるのも納棺師の役目です。

厳粛でありながら、おだやかな雰囲気を作り出すこと。

  

多分ね、最初のご主人にとって奥さんは、居て当たり前の存在で

納棺師が死化粧を施し「個人が日頃付けていた口紅があれば・・・」

と言うと夫は「あっ?」と戸惑う。

中学生の娘が別室に走り、手渡された紅を注し生きているかのような

故人が映し出される。

納棺が終わりお宅を後にしたとき、ご主人が追って来る。

「ありがとうございました。 アイツ、今までで一番の笑顔に見えたよ」

 

夫婦って、長く連れ添い毎日一緒に暮すことで

相手の顔なんてまじまじと見てないんでしょうね。

どんな顔して笑っていたか覚えていないのか、

毎日に笑う事がなくなってしまっていたのか・・・

 

地元の友人に会うと、態度が変わっていて家族に挨拶すらさせない。

「お前ウワサになってるぞ。何でもっとマシな仕事を探さない?」

そういい残し、足早に去って行く。

 

 

映画で観るこの仕事に、芸術性すら感じいい仕事だなぁと感じていたワタシ。

はっと気付きましたよ、主人公とともに。

死人に携わる仕事は、卑下され差別視されると言うこと。

人は死ぬ事で、汚らわしいものになりますか?

でも、携わる仕事は「触らないで、汚らわしい」とさえ妻に言わせる。

 

葛藤を抱えていた主人公が、奥さんが実家に帰っても続けるほどに

何かを感じた仕事。

社長が言うわけです

フグの白子を食べながら「コレも死体」

「でも美味しいんだよね、これが。人は毎日食べないと生きていけない。

 悲しいことに・・・」と。

 

いつも人のそばには生死があるわけです。

人に限らず、生き物の。

 

いくつもの旅立ちのお手伝いをし、過ごしているうちに妻が戻ってくる。

受け入れたわけでなく、赤ちゃんを授かったので夫が考え直して

違う仕事についてくれることを確信して。 曖昧に日々を過ごしているうちに

彼の仕事を目の当たりにする近い死を見送り、生き別れた彼の父の死で

妻も「彼の仕事は納棺師なんです!」と誇らしげに言う事となる。

いい映画でした。

色々考えてしまうけれど、いつか皆そこを通るわけで。

「いってらっしゃい」と、新しい門出を見送ってくれる人があることを信じて。

 

余談ですが・・・

上映中に「あれ?」と思うところで笑い声が聞こえるわけです。

かなりの人数の。

ギャグのように見えるシーン・行動で、そのままの画面を観てね。

その裏の傷つく様を、おどけた様子を見越して笑っているとは思えないんだけど^^;

なんとなく「そこ笑うとこ違うやろ?!」と何度か突っ込みたくなるような。

伊丹十三の「お葬式」とはちょっと毛色が違うんだけどなぁ(笑)

 

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